コミてんラジオ番組「オーガニックデイズ」12/16(木)14:30~放送分
《ゲスト》
日本環境設計株式会社 代表取締役会長 岩元美智彦 様
《パーソナリティー》
一般社団法人 ジオーガニックデイズ 石橋 智子、奥田景子
《提供》
一般社団法人オーガニック健康推進機構
▽▼アーカイブはこちらから▼▽(本編6分25秒~)
https://www.youtube.com/watch?v=GiwVscpKOiU
日本環境設計株式会社は、資源が循環する社会を目指し、
リサイクルの技術開発だけでなく、
他業種の企業とともにリサイクルの統一化に取り組むリーディングカンパニー。
使われなくなった衣類から抽出したエタノールを使い、
映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場する車『デロリアン』を実際に走らせたイベント🏎や、
「服から服を作る」サーキュラー・エコノミーを実現するブランド「BRING」の展開でも
大変話題となりました✨
福岡オーガニックマルシェの2022年デザインエコバッグも
「BRING」の再生ポリエステルを使用❣️
放送中では、「楽しく」リサイクルを伝えている岩元さんから、
知っているようで知らないリサイクルについてのアレコレを
たくさん教えて頂きました!
エコバッグの詳細も、近日中に公開されますので、お楽しみに~✨
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ケミカルリサイクルで実現するサーキュラーエコノミー
日本環境設計 代表取締役会長の岩元美智彦さんにお話を伺いました。
Interviewers:一般社団法人The Organic Days 代表理事 石橋智子、理事 奥田景子
―2021年12月16日 コミュニティラジオ天神「オーガニックデイズ」より―
―日本環境設計はどのような会社なのでしょうか?
岩元さん;
会社名はかたそうですよね。15年前に2人で立ち上げた小さなベンチャー企業なのですが、現在は資本金53億を超えるほどになりました。世界からも評価をいただいています。
ただ、どんなことをやっているかが大事ですので、今日はそれをかいつまんでお話しできればと思っています。
―リサイクルのための技術開発をなさっていますよね。
岩元さん;
服やペットボトルのリサイクルは聞いたことがあると思うのですが(マテリアルリサイクルと言います)、世界の平均だと何回ぐらいリサイクルできると思いますか?
―2、3回というイメージです。
岩元さん;
実は1回なんですよ。今までの技術だと、2回できたらすごいと言われています。弊社の場合は、ケミカル技術を使っていて、リサイクルの回数は無限大なんです。
―通常だと1回しかできないところ、永遠に可能だということなんですね。
岩元さん;
それがケミカルリサイクルのいいところなんです。
―すごいですね。その技術は15年前にすでにあったのでしょうか?
岩元さん;
ないです。会社を作ってから技術開発をして、工場を立てて、循環型社会をみんなで作っていきたいと思ってかけ回っているところです。
―国内外問わず、飛び回っていらっしゃいますよね。実際にはどのような活動なのでしょうか?
岩元さん;
工場を2つ持っていまして、繊維から繊維へリサイクルする工場が北九州に、ペットボトルからペットボトルへリサイクルする工場が川崎にあります。
技術と工場がないとリサイクルはできません。それが一つです。
それから、消費者の方にどこでリサイクルをしたいか、どこがやりやすいかと尋ねると、1位は買った店という答えだったんです。2位、3位は学校や駅など人が集まりやすいところ、4位が役所でした。ですので、役所にしかなかった回収ボックスを、消費者がリサイクルに参加したいと思っている場所に置いたほうがいいと思い、お店に回収ボックスを設置しだして、10年ちょっとがたちました。
―百貨店でも回収の月があって、回収ボックスを見かけることがあります。
岩元さん;
通年でやるところ、衣替えのシーズンなど年に数回、またはイベントでやるところなどがここ数年増えてきていまして、現在は全国に数万拠点になりました。服やメガネ、オモチャ、携帯電話などのリサイクルに皆さんが参加する仕組みもどんどんできあがってきています。
―継続していくことでいろいろな案も出てくるでしょうし、広がっていくのですね。
岩元さん;
回収ボックスを置いた一番のメリットは、行動変容です。自分ごとになるんです。リサイクルや環境のことを考えるようになる。それが大事なので、工場を持ってみんなが参加する回収拠点を整備したのです。
しかし、それだけでは循環型社会はできないと思いました。皆さんに参加してもらうために、「正しいを楽しいに」というキーワードを考えました。難しい話や地球がきついよとあおるだけでは人は参加しないんじゃないかと。
その代表事例が、映画「バック・トゥー・ザ・フューチャー」の車型タイムマシン「デロリアン」をみんなで動かそう!という企画です。PART 1は1985年に公開されたPART 1では30年前の過去に、PART 2では30年後の未来に行きます。そのPART 2のエネルギーがゴミだったんです。ゴミをエネルギーに未来に飛んで行って、事なきを得て帰ってくる。これはリサイクルの象徴だと思って、コネもないのにハリウッドに交渉しに行きました。そしてそこで3つの話をしました。
1つは、みんな参加型の循環型社会を作りたいということ。
2つめは、戦争やテロをなくしたいということ。
3つめは、子どもたちの笑顔を取り戻したいということ。
2つめの議論が長くなりまして、戦争やテロの原因はなんだという話になったんです。そうするとやはり、地下資源の争奪だと。直接的、間接的含めて6、7割が石油、金、ダイヤモンドです。金、銀、レアメタルに関しては技術も市場もある。ケミカルの技術を使えば、有機物、燃えるものも燃やさずに循環ができるんですね。地下資源はいらないということになる。戦争とテロをなくせる、子どもたちの笑顔を取り戻せるんじゃないかと話を詰めていったら、1ヶ月後にやろうという返事をもらえたんです。
最初はデロリアンを借りるお願いをしていたんですが、ちょっともめて、最後にはお前が買えと言われて、買ってきたんです。あのデロリアンは私の持ち物なんです。いくつかあるんですが、そのうちのPART 1の一つです。イベントまで時間がなかったので、飛行機で運びました。輸送だけで650万かかりました。
でもハリウッドには、やっぱりリサイクルを楽しく表現することが大事なんだと分かってもらって実現しました。
みんなで服を集めてデロリアンを走らせようというキャンペーンをしたら、短期間で10万人が参加してくれました。
―北九州でも実施されていましたね。
岩元さん;
工場がありますので。皆さんに工場見学にも来てもらって、服を一着預けてもらうと一着ができる。このように、工場と、皆さんが参加する仕組みと、「正しいを楽しいに」というキーワードを入れながら、循環のトライアングルを伝えていって、究極の循環型社会を作りたいと思っています。
―デロリアンは象徴的でしたね。最初のつかみがすごかったと思います。
岩元さん;
マスコミ80社に取材してもらって、NHKやBBC、CNNも世界で発信してくれました。翌日のメールはパンク状態でした。
楽しいっていいな、夢を実現してくれたな、すごい技術だなとか。
―大人もワクワクできますね。
今はファッションの方にも力を入れられていて、「ブリングプロジェクト」もなさっていますね。
岩元さん;
蜂のマークのブランドです。ブリングプロジェクトは「持って来て」ということなんです。それをリサイクルしてまたすてきな商品に変えていきます。
―服や靴、バッグ、メガネなどを持って来てねということですね。
岩元さん;
皆さんには「また帰って来てね」という思いで、回収ボックスに入れてもらっています。リサイクルで何に変わっているか分からないではなくて、服から服、ペットボトルからペットボトル、オモチャからオモチャなど、分かりやすく表現をしています。先月には、恵比寿にブリングショップの直営店をオープンしました。おかげさまで、ちょこちょことお客さんにも来てもらって、喜んでもらっています。お得情報は、いらない服、着ない服を一着持って来てもらえると、10%引きです。リサイクルをするとお得なんです。
―福岡オーガニックマルシェ2022年のエコバッグにも、ブリングプロジェクトの再生ポリエステルバッグを使わせていただきました。洋服を送って10%オフにしてもらえば良かった。
岩元さん;
これは、実は2020年東京オリンピックと関係しているんですが、選手団のオレンジのユニフォームは、いらない服から作ったんです。弊社で樹脂を提供しました。それと同じ仕組みで作っています。
―地の色の白がきれいだなと思いました。作りもしっかりしているし。
岩元さん;
袋用で強く作っています。もう一つ、ブリングTシャツがあって、よく売れています。Tシャツってアンケートをとると、綿100%を着たいけれども、機能的にはポリエステル100%が良いと言われる。吸汗速乾、サラッとしているという。その素材ができて、見た目と着心地は綿100%、ポリエステルの最先端機能が入っているので、走ってもいつもサラサラなんです。チタンを入れているのでUVカットや透け防止も実現しています。すごくよくできているということで好評をいただいてます。
―ずっとリサイクルできるという仕組みを作られたことで世界からも注目されていて、世界中を見ても、御社にしかない革新的な技術なのですね。
岩元さん;
スウェーデンのファッションブランドH&Mは、グローバル会議で、「服から服ができるので、2030年までに新たな資源を使わないようにする」とコミットしてくれたんです。
翌年にはコカコーラやダノン、アディダスなど17社が、地上資源だけを循環させる、地下資源なんかいらないとコミットしてくれました。これはとても大きいことなんですね。「サーキュラーエコノミー」とは、経済と環境なんです。ここにケミカルの技術を入れると、平和が出てくるんです。新たな資源を使うことがない。経済+環境+平和が理想で正しい姿だと、H&Mもこのような社会を一緒に作ろうということで、CEOがグローバル会議で、二度と石油は使わないと言ってくれたんです。
こうして、それがグローバルスタンダードになってきています。ケミカル技術が大事だと確信を得ましたね。
―新たな資源を使わないということが、争いを生まないということにつながっていくのですね。
岩元さん;
CO2削減も可能になります。物や工場の大きさによっても違うのですが、現在の技術では50%から60%ほどです。まだ始めたばかりですので、技術革新を進めています。私の理論値としては、80%ぐらいまで削減できると思っています。50〜60%でも世界トップクラスですが、技術をさらに高めていっているところです。作って使ってリサイクルしても、ほぼCO2が出ない、地下資源を使わないという社会をみんなと一緒に作りたいのです。
―技術自体が燃やさないリサイクルなので、CO2が出にくいということなのですね。
この先目指すサーキュラーエコノミーについて、最後にお聞かせください。
岩元さん;
今、世界の国々や化学メーカー30〜40社と話をしています。世界にケミカルリサイクルの工場がいき渡ってこそ、CO2削減、循環の世界がスタートするので、これからは早くグローバル展開をしていきたいと考えています。地球環境と平和を、未来の子どもたちのためにやっていきたいと思っています。
―日本で開発された技術を使って、グローバルにリサイクルを進めて、争わない世界を作っていきたいということですね。実現すると信じています。
皆さんが気候変動や環境の変化を肌で感じていると思うので、何かしないという危機感が一人ひとりに芽生えているのではと思います。
岩元さん;
意識が出てきて、技術もできてきているので、そのソリューションを世界に提供していって、具体的にこうしたら地球環境は良くなるんだと示していきたいですね。
―日本の誇りですね。
岩元さん;
頑張りますよ。
―その工場の一つが、福岡県の北九州にあるということもうれしいです。見学もできるのでしょうか?
岩元さん;
はい。いろいろなおもしろい道具もあるので来てみてください。
―ぜひお伺いさせてください。
終わり